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『宮沢賢治を読もう』@新シリーズスタート 

『気のいい火山弾』『虔十公園林』  《3月20日》


児童文学者の牛丸さん

賢治の世界を冒険しよう!

牛丸仁先生の新シリーズが今回より始まりました。
「宮沢賢治を読もう」です。
「読もう」ということで、講座に参加しながら、牛丸先生がナビゲーターとなって、宮沢賢治の魅力や世界を一緒に探求しようというもの。

先生いわく、「賢治の世界は、本人すら“何のことだか分からない”と言っているので、読み手に任せて楽しく遊びたい」とのことでした。

参加者は、一人でその世界に触れるというよりも、“賢治の森”へみんなで出かけ、探検してみよう、といったところでしょうか。宮沢賢治に直接興味がなくても、未知の世界を冒険するようなワクワク感が出てきます。これも牛丸先生の「教えない」講座のせい?

自然を見つめていると…

牛丸先生も一人の児童文学者として、賢治の世界に通じるものを持っています。
たとえば、自然や動物を見ていると、「きっとこういうことがあるに違いない」との思いにかられ、創作へとつながるのだとか。

最近書かれた『五つの涙』という幼児向けの作品は、「子ども達が流す涙はどこへ行くんだろう?」という疑問から生まれたと言います。

世界中の子どもの流した涙が雲になってお日様のところに集まって、一番多く流した涙に、その理由を聞いて、それでお日様は次の日のお天気を決める、というお話。
(この物語は、講座の最後にラジオ放送で流れたものを聞くことが出来ました)

イモリを見れば、「なぜイモリの腹は赤いのか…」そこに一つの物語が生まれるのです。
そんな話にそそられながら、賢治の世界へと入っていきました。

童話のキーワードを探す

今回読んだのは、『雨ニモマケズ』『気のいい火山弾』『虔十公園林(けんじゅうこうえんりん)』。

牛丸先生は、若い頃、「まじめ過ぎて、格好いいことばかり言ってる」と、あまり賢治を読もうとしなかった。
ところが『雨ニモマケズ』は、賢治が結核で助からないことを覚悟し、死の前年に書かかれたメモだったことを知り見方が変わる。
「この詩はただの願望ではなく、自分のそれまでの生き方に、なお、まだこう生きたいという願いを書き綴ったものではないか」と。「ならば、この詩の中に童話のキーワードがいくつかあるはずだ。探ってみよう」
この思いが賢治の世界へと先生を誘っていきました。
そして、本講座でも、そのキーワードを探りました。

「慾ハナク」
「決シテ瞋ラズ」
「イツモシズカニワラッテヰル」
「ジブンヲカンジョウニイレズ」
「ミンナニデクノボートヨバレ」
「ホメラレモサレズ  クニモサレズ」
「サウイウモノニ ワタシハナリタイ」
一行一行挙げていくと、全文がキーワードになってしまいます。

物語をどう読む?

次に『気のいい火山弾』を読みました。
『雨にもまけず』の中のキーワードがいくつか出てきます。
周りのものたちに馬鹿にされ、からかわれながらも、決して怒らず静かに耐えている「べこ石」の話です。結末は、「べこ石」の価値が人間によって見出されます。

『虔十公園林』も、周りに馬鹿にされ、言いなりになる虔十という人間の物語。しかし、結末は、虔十の育てた林が公園として後世に残り、本当のさいわいをもたらします。

さて、この物語を、どう読むか、賢治は何を言いたいのか―
牛丸先生は、教科書的な主題の読み取り方と、様々な角度からの読み方をいくつか提示し、「さあ、あとは、自分たちで考えてください」と投げかけました。

二つの物語の主題を教訓として受け取ると、周囲に馬鹿にされても、気にせずに、自分は自分らしく生きよ、いつか自分の価値が見出される時が来る、ということにもなります。

が、物語の面白さは、探検の道中にあり、作者がなぜそのように空想したのか、想像を巡らすところに作者の世界を開く鍵があるように思います。宮沢賢治の世界を知ることは、自分の中にある、賢治の扉を開くことなのかもしれません。
また、次回が楽しみになりました。

今回の講座に初めて参加された、女性の方が講座の終わりに感想を述べていたので
ここに紹介します。

「 楽しかったです。
子育て終わって、童話の世界を忘れてしまっていたんですが、
子どもと同じ感覚でものを見るのは、大人になっても大事だな、
ずっと大事だなと思いました。
宮沢賢治は、そういう大人だったんだと、
そういう人に“私はなりたい”」(笑い)


次回は、『双子の星』『よだかの星』の予定です。
先生は、通院中の身で、日程が決まりませんが、4月中旬の予定です。 (いわた記)

講座に参加して  小学校の国語の先生より 

自分は普段、小学生と一緒に国語の勉強をしているけど、カルチャーカフェに集まってきている人達は年齢層も違うし、きっと目的も違うんだろうなぁと思った。

どんな所に面白味を感じているのかを知りたくなった。

このように今回新たな視点を感じることで、普段はあんまり深く考えないけど、あらためてこれから小学校の国語の学習を通して自分は何をしていきたいのだろう?と考えるきっかけになった。

「賢治は、自然の中に入ると、子どものようにはしゃいでいた。」
みたいな話が印象深かった。

次の日に、てっらこやで小学生と一緒に里山に行った時に、「自然」、「子ども」というフレーズが頭に浮かんできて、自分ももっと感性を広げていきたいと思った。

 

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