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鈴鹿カルチャーステーションの
坂井和貴さん。


このコラムは、坂井さんが
個人的に書いているブログ
を 、本サイト管理者が、
勝手に拝借して掲載して
いるものです。

 

 

 文化と人類E やりっぱなし  11月22日

(1)数日前、下記のニュースが目にとまった。
<お金目当てでは楽しめない>
面白いことでもお金稼ぎが目的になると楽しめなくなり、自発的なやる気が低下することが、脳活動の変化として裏付けられた。
玉川大の松元健二 准教授やドイツ・ミュンヘン大の村山航研究員らが15日までに行った実験の成果で、米科学アカデミー紀要電子版に発表される。

これまで心理学の行動実験では知られていたが、脳科学実験で確認されたのは初めて。教育上の参考になりそうだ。

松元准教授によると、勉強やボランティア活動をしている子供に、思い掛けない褒美をあげるのは励ましになる。
しかし、最初から成績に応じた小遣いを約束すると、「やらされている」感覚が生じ、小遣いをもらえなくなったときに意欲が低下する恐れがあるという。

(2)こういった内容は時々、話題にはなるが、逆に<報酬がないとやる気が出ない>というようなことも実験で証明されたとか云って、諸説紛々入り乱れてウヤムヤになることが多い。ちょっと考えてみようと思う。

(3)子どもに、「何かをして貰ったら、ちゃんとお礼を言いなさい」という躾をする人が多い。子どもがお礼を言うまで、口に出して叱ったりする親もいる。あそこの家の子は、私がこれだけしてやったのに「ありがとう」の一言も言えないと怒り出す人もいる。

(4)それに類することたくさんあると思うが、いったい子どもたちには何が伝わるのだろうか?報酬や見返りによって、人間社会は成り立っている、そういう文化なのだということが、知らず知らず子ども心に浸透していくような気がする。

(5)何かをした時、“お礼を言って欲しい”とそれを期待していつまでも待ち続けている人と、そんなことには全く無関心でサッサと次の自分の関心事に向かっていく人と、どちらがカッコイイか?前者だと思う人って居るんかなあ?居たら会ってみたい。

(6)龍馬さんのことは本やテレビくらいでしか知らないけど、見返り求めて『薩長同盟』やら『大政奉還』に奔走していたとしたら、余りにカッコ悪い。
龍馬のような大きな人に成って欲しいと願いながら、“お礼を言いなさい”と躾ける。これは矛盾している。

(7)全然話は違うが、江戸時代の和算は相当レベルが高かったらしい。中には西洋数学の大学者が見出した定理が、その100年以上前に一介の江戸町民によって既に使われていたということもあったという。

(8)和算極めても、実益や名誉になるとかなくて、殆どの人は興味本位だけでそのことに嵌り込んでいたようだが、もしかしたらそれ故に、そこまでのレベルになったのかも知れない。

(9)昨晩、最近農業を始めたという青年が、「これまでは、これだけ働いたら給料いくらという世界」でやってたのが、「今はとても給料払えないから、好きなだけやっていいよ」と言われて、やってもやってもやりっぱなしになった、世界が丸っきり変わって面白くて仕方ないと言っていた。

(10)ただ、“やりっぱなし”と聞いたら無責任みたいに思うかもしれないけど、『何かして貰ったら、お礼を言う、報酬を払う』『何かをしてあげたら、お礼を言って貰う、報酬をもらう』っていうことで成り立っているように見える社会や文化って、今一度洗濯いたし申候!

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