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子どもの目線、そこから見えた世界



『ぼくセザール10歳半1m39cm』を観て  吉田順一

  

薄くなっていく(2日前に観た)記憶の中から、今僕の心に残った感想を書いてみよう。

監督、リシャール・べりの一番伝えたかったことはなんだろう?
3人の子どもをメインに、中でも、"セザール・プチ"に焦点を当てた映画だったかな。

以前見た『スタンドバイミー』の子供たちの成長と友情の深まりをテーマにしたものとはまた一味違った映画だろうか。もちろん、サラという女の子と、セザール、モルガンという2人の男の子の間の友情と恋の芽生えに、僕の関心はいったし、映画もそんな所に光をあてているようでもあった。しかし、それがこの映画で一番伝えたいところではないような気がする。



最初の場面で、棺を土に埋めるシーンがある。その時、大人たちに混じってセザールがいた。彼が、足で蹴って土を穴の中に置かれた棺にかけた時、傍にいた大人にその場から引き離される。違う場面では、満員電車の中で、セザールの目線に焦点が当てられて、独白する。どちらも激しく抵抗しては描かれていなかったが、子どもの心に寄り添うことより、大人の世界の論理に従わせることが、極普通の状態として描かれているようだった。

唯一、子ども達を守ってくれた女性グロリアがいた。ある時は彼らの親たちから守り、またある時は、連れ去ろうとする男から。彼女に中立的なものを僕は感じた。



『10歳半1m39cm』、このタイトルが意味するところは何だろう? 改めて考えてみる。小学校5年にあたるのかな? その時の子どもの目線、そこから見えた世界。僕自身のことはほとんど忘れてしまったけれど、それでも、映画はそれを思い出させてくれた気がする。

自身のことでいえば、丁度セザールと同じころ、セルロイドの下敷きに、同級生の好きな女の子の名前を書いたりしていたこともあったなあ。今、僕の回りには、そのくらいの子ども達もたくさんいるし、もっと目線の低い、小さな子ども達がたくさんいる。そんな子ども達にもっと心を寄せていきたくなった。


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