トップ運営理念イベントNEWSお知らせレンタルカルチャーエコ街のはたけ学習塾館内アクセス

                       前の記事へ  |次の記事へ | NEWS一覧へ



     大豆博士の梅ちゃん先生 “農は楽し"講演会
         
好奇心・向上心をくすぐる
  三重県健康生きがいづくり協議会(三重の会)主催 《2015年12月13日》 


三重大学 生物資源学部教授 梅崎輝尚先生

「はたけで食べよう!」企画で、時々お目見えしてくださる梅崎先生の講演会が
12月13日日曜日、SCSで開かれました。題して「“農は楽し”〈農・未来・子ども〉」。
主催は、三重県健康生きがいづくり協議会(三重の会)。はたけ公園企画のスタッフの
皆さんが関わっている会です。

その皆さんは、「街のはたけ公園」や「すずかの里山」で、野菜の種まき・栽培・収穫、食育という一貫した体験の場をつくり、“シニアと子どものコラボ”を展開してきました。それは「農ある暮らし」を軸にした新しい地域文化の芽生えとも言えそうで、更なる発展を描き
、今回の講演会を企画したそうです。

梅崎先生は、“梅ちゃん先生”の愛称で奥様方にも人気のある三重大学生物資源学部教授の大豆博士。辰巳芳子さんが立ち上げた大豆百粒運動の顧問もされており、国内外での技術指導に多忙な先生です。

そして、そのお話は… 先生は、大阪出身だそうですが、
さすが、関西人、落語を聞いているようで、会場を大いに沸かせていました。
農を巡る様々な事象を取り上げて、その問題提起と警鐘を鳴らす解説は、得心のいくもので、単なる農の話に終わらず、人間のありかたに精通する内容でした。



司会の伊藤さん(三重県健康いきがいづくり協議会)




●これが言いたい!



「農作物」――これを何と読む? 「のうさく ぶつ?」 「のう さくもつ?」。
この読み方一つに、梅ちゃん先生の作物への愛がありました。

まったく同じ遺伝子でも、魚沼産コシヒカリと〇〇産コシヒカリではその美味しさは全然ちがうとか。
育つ環境で大いに違うという例で、 大阪と九州ではその環境が真逆だという話をご自身の体験で明かしてくれました。

「クジラ?、あれはサカナでしょ!どう見たって」
そういう人間の感覚って大事ではないでしょうか?と言います。
私たちは頭で、クジラは哺乳類って思っていますが…。



遺伝子組み換え作物とは? 何が危険なのか?―そんな質問が会場から。

人間の各細胞には、みんな同じ遺伝子があるのに、その細胞は髪の毛になったり、
お尻になったり、心臓になったりしている。それは遺伝子の働きに二つあるからだと。
プログラムとスイッチをオンにする時期があるそうだ。……
遺伝子組み換え作物が持つ危険性について、納得のいく解説を…。
そして、人間がずいぶん勝手に都合よく作っていることの恐ろしさを痛感。



2時間があっという間に終わり、話は尽きず…聞き足りず…
次またいつやるんですか?と、リクエストも出るほどでした。

参加された方の感想から、その余韻をお届けします。


●楽しい講演会でした!        余川彬夫

大学2年生対象の「作物学」のご講義の内容を中心にお話して頂きました。

梅崎先生の"農"に対する情熱、使命感に感銘を受けました。また、ユーモアたっぷりで、
聴講した全員が楽しく拝聴できたと思います。

先生のお話で、特に強く感じたことを簡単に記します。

"農"というものは、"現場で見えるものを、人間の感覚、自分の感覚で、捉らえることがベストではないでしょうか、農以外の多くの分野でも同じではと仰っています。 私は、トヨタ生産方式の3現主義を思い出しました。

農作物という場合、農により作り出される作物であって、農作の物ではないということで、工作物と同じ表現の仕方(NHKの言葉の使い方)は誤りではと仰っています。 「農の哲学」です。先生の農に対する価値観とか厳しい姿勢を感じました。

未科学と非科学について、理論的には分かっていても、現在、証明できないものを、非科学的というのは誤りで、未科学的と言うべきではないだろうか。植物も生物体だから生きがいがあるはずだ、植物の気持ちになって見続ければ証明できるはずと信じている。それは、非科学的ではないと思うと仰っています。先日、先生が、自分の研究の姿勢は、階段タイプでなく坂道を持続的に歩んでいくタイプだと仰っていた事を思い出しました。よく成功には 運・根・勘 が必要と言いますが、運も勘もベースには根があると私には思えます。

今回のご講演は"楽しく、明るく、しかも、好奇心や、向学心を刺激する内容"だったと思います。それは、我々の"健康生きがいづくり"に通じるものではないでしょうか。次回が楽しみです。梅崎先生よろしくお願いします。 聞き違い、誤解している点はお許しあれ。



●愛情豊かに育てていること

“農"(作物)ではなく、工作物の生産者として印象深く聞きました。先生が研究室で大豆の品種改良をしている心がけとして、植物に気持ちが込められている。人と等身大で、大粒の美里在来種を愛情豊かに育てていることに感銘を受けました。(60代・男性)

●作物と通じるってことは        

犬がしっぽを振って喜んでいる。それは、たぶん通じていることだと思う。
じゃあ、同じ生き物である、魚は? メダカは?
カビの研究者がいるんですが、「カビがかわいい」「カビが喜んでいる」って言います。
カビと通じてるんです。

「非科学と未科学」という話から、そんな「生物と通じる」という話になった。
梅崎先生も大豆栽培をしていて、ある晩、大豆の花がいっぱいに咲いた夢を見たそうだ。
「大豆の花が夢枕に立った」(笑)と。
その翌日、はたけを見回ったとき、28日以内では決して咲くはずのない大豆の花が
一輪咲いているのを発見した。
またある時、棄てられた大豆が殻を割ってパチパチ弾ける音がしたという。
「俺はここにいるぞ」と叫んでいるように聞こえたと。
こんなのも「大豆と通じている」のではないか。
「科学で分かっていることはほんとうにわずか。未だ解明出来ないことはたくさんある。そういう未科学の分野に科学が追い付いていないだけ。それを非科学的だと片づけてしまってはいけない」

そんな話が得に心に残りました。

自分が誠心誠意やっていることは、そのことにとても敏感になるし、対象が生き物で なくても、相手のことがよく見え、精通してくるものです。それも通じるってことになるんだろうか。

先生が、どんな気持ちで、大豆や作物と接しているのか、そんな姿勢や気持ちが伝わってくるようでした。趣味の延長で研究しているとも言ってました。
聞いていて、いいなー、そんなふうに仕事をしたいなーと思いました。
話にも引き込まれましたが、人柄に一番感銘を受けた感じです。
(50代・男性)


(写真・記事:いわた)

フェイスブックページにも「いいね!」をお願いします。




このページのトップへ  

since 14.Jun.2010  Copyright SCS All right reserved.