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“ロックト・イン”意識が閉じ込められたら @ A

映画 『潜水服は蝶の夢を見る』(2007年、監督ジュリアン・シュナベル)

フランスまるかじり大嶋優のオーシネマカフェ 第17回 《7月14日》

感想 吉田さん 船田さん 



        講師の大嶋優さん(関西学院大学フランス語講師)

今回は、『潜水服は蝶の夢を見る』というなんともシュールなタイトルの作品だ。講師の大嶋さんは、予告で安楽死のテーマを投げかけていた。もし、ある日突然、意識はあるが身体が動かず話すこともできなくなったらどうするか? なんて、聞かれてもピンとこないだろうが、それを体験してしまった作者からのメッセージとして、私たちに生きることの意味を問いかけてくれる映画とも言えるだろう。映画を鑑賞した吉田さんと船田さんのレポートを紹介したい。 (いわた)




映画は、ロックト・イン症候群となった主人公の目線で始まる(これは、鑑賞者を主人公の意識の中に入り込ませる手法なのか? 映画の画面が患者である主人公の目線で追っていくため、患者と同じ不自由な感覚を味わう)。ロックトインとは、意識は正常だが、身体が麻痺し、動くことができない状態。主人公は、聴くことはできても話すことができず、瞬きと眼球を動かすことのみが可能。女性雑誌「エル」の編集長をしていた主人公ジャン・ドミニク・ボビは、ある日突然脳卒中に倒れ、ロックト・イン症候群となってしまう。イエスとノーを瞬きによって伝え、自伝を書き上げる。その実話を映画化した作品だ。



ジャン・ドミニク・ボビは、女性雑誌『エル』の編集長として多忙な日々を送っていた。


彼を支えた人たちに映画の主題が?

実は今少し混乱している。映画を観て感じたことはいろいろあったのだけれど、とてもまとまりきりそうにない、、、そこに囚われてゆきそうになると、映画からはどんどん離れていってしまいそうなそんな気持ちがする。なにはともあれ、今の段階で僕が感じたところを、混乱はそれはそれとして、心に感じたところを書き留めておこうと思う。

今回の映画は、題名からして覚えにくくて、この間何度かSCSに行った時に、掲示されたパンフを見ては覚えようとしたけれど、またすぐ忘れてしまうといった具合で、内容に対しても、「難しい、重い」といった先入観を持っていった気がする。

又今回どこの場面かはわからないが、”ラ・メール(海)”という詩を僕が朗読するということもあって、幾度となくこの詩が歌われているものを、ユーチューブで聴いたりもした。更に、自分で求めてレンタルビデオ店に行き、「潜水服」、「蝶」と途切れ途切れに店員さんに伝えた。今までの経験上大嶋さんの紹介してくれるフランス映画は、ほとんどレンタルビデオ店にもなくて、今回も余り期待はしてゆかなかったけれど、僕の言葉を受けて若い女店員さんはすぐに売り場からそれを見つけ出してくれた。

ロックト・イン症候群で意識が鍵をかけて閉じ込められてしまった状態の、ジャン・ドー。全ての動きが不能となり、唯一残されたのは2つの眼。しかし右目は潰瘍を防ぐために縫合されてしまう。本当にたった一つ残された意識伝達手段は、左目の眼球の動きと瞬きだった。

この左目の20万回にも及ぶ「イエスは、一回。ノーは二回」という瞬きによって一冊の本を書きあげてゆく。気の遠くなるような作業を、可能ならしめたもの、、、、僕は今そこを思う。
しばらく眼を閉じて映画の場面を思い返してみていた。潜水服をきたジャン・ドーが海中を漂う場面が浮かんできた。そして、車椅子に乗った彼が台に乗り海辺で波を感じている場面、、、、女友達と波打ち際を抱き合って戯れ、転げまわる場面、夢で、車椅子から立ち上がり女性と踊りだす場面、、、などなど

ジャン・ドー本人の意識の転換が、まず第一だろうけれど、今の僕には、彼を支えた病院の医師、言語療法士、理学療法士、言葉を書き取った女性、家族、恋人、、、、そのどの人たちからも感じられた、彼への尊敬の眼差しが忘れられない。人間としての尊厳を認め合う、そこに僕はこの映画のひとつの主題を感じる。

ジャン・ドーは、想像力と記憶で自分の潜水服から抜け出て、再生をしていったけれど、僕自身はどうだろう?精神的なロックト・イン状態になってはいないだろうか?とても消化したとはいえないけれど、混乱する頭を鎮めるつもりで書きとめておきます。

(吉田順一)    このページのトップへ



映画の一場面――「父の日」海岸に子どもたちと出かける。


夫々の思いで蝶になる
大嶋先生・(フランス)映画の豊かな見方 !   

主人公、通称、ジャン・ドー
フランス女性雑誌「エル」の編集長43歳の時
脳卒中で倒れる(ロックト・イン症候群)
脳幹に損傷(眼の開閉の上下運動のみ可能)
そのための意志の伝達は眼の動きとまばたきのみ、
自発運動ができず、意識が鍵をかけて閉じ込められた
(ロックト・イン)状態をいう。
以上映画内容が紙に書かれてその内の5分1程度に
省略した。

『潜水服は蝶の夢を見る』題名に驚かせる。
追加説明:僕はもう自分を憐れむのはやめた。
左目のほかにも麻痺してないものが2つ、
想像力と記憶だ。想像力と記憶(意識、無限の想像力)
で、僕は潜水服(身体)から抜き出せる。

倒れて2年間の病院生活での(45歳で亡くなる)
実体験を綴ったこの物語なのだ。
(瞬き1回イエス2回がノーで伝達、文章化)

大嶋先生の解説で9割がた飲み込める自分の感じ。
で、僕の中でうまれるのは監督がアメリカ人がために?
何故か?
悲しい、暗い、題材なのに?ジャン・ドーが、
<・・もう自分を憐れむのはやめた>この捉え方が、
監督であるし画家でもある(新表現主義の画家)。

勝手に見る僕も画家になるしか?ない。とても鑑賞絵と、
など無理だし耐えられない?
この映画は観るのでなく夫々の思いで蝶になる。
そして後から潜水服とは?自問することか?
・・・僕自身涙することばかりだ?

船田武)    このページのトップへ



さて、今回の映画は記者にとっては難解な作品だった。
自分自身を、主人公に置き換えて考えてみたらどうか?
あるいは、意識だけが鮮明にあるが、身体感覚を失ったとき、生きるとは、どういう意味があるのか?日頃私たちは、どういう世界で生を感じているのか?…
意識の底に深く潜入してこの映画のテーマについて考えてみたい。
レポートをお楽しみに! つづく
(記者:いわた)


記事は続く>>> 自ら「ロックト・イン」してない?

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